加速して「紙」の減りこし朝刊のステルス冠記事目にあまる
新聞の世界で「紙」と言えば、紙の新聞の発行部数のことである。日本新聞協会のサイトで確かめてみると、一般紙とスポーツ紙を合わせた総発行部数は、2024年10月時点で2660万部ほど。2000年の同時期には約5370万部だったから、半分以下に減った。これほどの減少をデジタル版の契約者増で補うことはできず、多くの新聞社は経営に四苦八苦している。そうなると、増えてくるのが一般記事のように見えて実は企業や団体のPRだったり、タイアップの要素が紛れ込んだりする紙面である。注意して見ないと分からないケースもあり、私はひそかに「ステルス冠記事」と呼んでいる。
作者/加古陽(かこよう)

1962年、愛知県生まれ。「心の花」「微文積文」会員。東京新聞編集委員。第54回角川短歌賞次席。歌集『夜明けのニュースデスク』(前川佐美雄賞・筑紫歌壇賞)。歌書『一首のものがたり』(日本歌人クラブ評論賞)

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