No.651/2025年10月12日【眠】 書の街に言葉は眠りここにある感情をまだ定義できない

加古陽

御茶ノ水・神保町界隈で吟行会があり、小糠雨が降る中、久しぶりに神保町を歩いた。世界最大の古書店街と言われる神保町には140あまりの古書店があり、新刊書を売る店などと併せると200ほどの書店があるという。この街にいったいどれほどの本があり、どれほどの言葉が眠っているのか、と思いを馳せる。その中には、水底に沈んだわが感情の澱を定義する言葉もあるはずだが、まだ出会えていない。

作者/加古陽(かこよう)

1962年、愛知県生まれ。「心の花」「微文積文」会員。東京新聞編集委員。第54回角川短歌賞次席。歌集『夜明けのニュースデスク』(前川佐美雄賞・筑紫歌壇賞)。歌書『一首のものがたり』(日本歌人クラブ評論賞)

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