伊藤一彦が詠んだ短歌

No.531/2025年6月14日【半透明】 酒の香の半透明の言葉たちパーティ会場を行き来してゐる
酒の香の半透明の言葉たちパーティ会場を行き来してゐる
5月から6月にかけて、夜の立食パーティに...

No.528/2025年6月11日【嘘】 半身は嘘でかためて世を生きるすべもつべしと悲しき先輩
半身は嘘でかためて世を生きるすべもつべしと悲しき先輩
塚本邦雄氏の若い日の歌に〈嘘だらけなる世...

No.522/2025年6月5日【歯】 「さにつらふ」色とうたはず歌びとと言へるか歯噛みし口惜しかりけり
「さにつらふ」色とうたはず歌びとと言へるか歯噛みし口惜しかりけり
乃上さんの下の句。「透ける」...

No.519/2025年6月2日【あなた】 泥酔をしてゐるあなたむき出しのたましひ悲惨 薔薇もてかくせ
泥酔をしてゐるあなたむき出しのたましひ悲惨 薔薇もてかくせ
お酒を一滴も飲んだことがないという...

No.517/2025年5月31日【銀座】 美しき街をみながら一五〇年の時を感じる銀座にビールに
美しき街をみながら一五〇年の時を感じる銀座にビールに
私はこのところ銀座には行っていないが、格...

No.514/2025年5月28日【下】 緑葉の下を行きつつ目にはやも浮かびくるなり草太のゑがほ
緑葉の下を行きつつ目にはやも浮かびくるなり草太のゑがほ
4日前の日本歌人クラブの授賞式と祝賀会...

No.508/2025年5月22日【水木】 見る人の誰あらずとも大きなる山の水木の白き星咲かす
見る人の誰あらずとも大きなる山の水木の白き星咲かす
ハナミズキは北アメリカ原産の落葉木で、街路...

No.505/2025年5月19日【白・手】 風邪の神あとを追ひきて白い手にわれつかみたり胸をつかめよ
風邪の神あとを追ひきて白い手にわれつかみたり胸をつかめよ
そうか山下さんまた風邪とは大変だ。私...

No.502/2025年5月16日【毒・鈴蘭】 毒もたぬやさしさに見えじつは毒かくしてゐたか鈴蘭のごと
毒もたぬやさしさに見えじつは毒かくしてゐたか鈴蘭のごと
鈴蘭は愛らしい花だ。だが、毒性がつよい...

No.499/2025年5月13日【暇】 何といふ忙中閑か大物の新鋭「暇人」の手すさびよろし
何といふ忙中閑か大物の新鋭「暇人」の手すさびよろし
現代歌人協会賞、日本家人クラブ新人賞の受賞...