乃上あつこ

長い髪なびかせ固まるブロンズの少女の像に伸びる永遠 風が吹いていない真昼、街頭に立つ少女の像だ...

地中から伸び宇宙からしずくする唐黍状の聖家族寺院サグラダ・ファミリア 私がいつか行きたいと思っ...

子音ばかり聞こえて来そうでこそばゆい陽のひかりに黄の酢漿草ゆれて かたばみは、小さな花がひそひ...

嘘笑いの並ぶ日常　嘘泣きを最後にした日を思い出せない 昨日の久永さんのごちゃごちゃとすっきりの...

出逢いとは不意の墜落　目の覚めた丘にさやさや撫子そよぐ UFOが墜落してドラえもんが描き出され...

歯をあてて転がりゆきし思い出の梅の実ひとつ透ける水無月 今はまさに梅の実のシーズン。牧水にも梅...

面影の重なりやすき初夏の草の風ゆく銀座大通り 日本歌人クラブの授賞式の前日に、なんと銀座で久永...

こんなにも実のなるものか雑念の木下闇にて暑さをしのぐ 成果を出すには時間がかかる。すぐ思いつく...

試香紙のように香りを湛えつつ真白くひらく橙の花 いつも通る道に白い橙の花が咲いていた。形は総状...

四元素の火風水土つなぎとめ花水木ひらく東の果てに この時期、数寄屋橋公園に花水木がひらひらと舞...