無情なる強き陽射しが引きし糸ほつれて夏の形を崩す
強い日差しがあるのは夏らしいが、これまでにない暑さによって夏の形が変わりつつある。外で元気よく遊ぶことも熱中症の危険があり、推奨されない。むしろ避けるべき行為になってしまった。それから、他に変わってしまった夏の形としては…花火が許される場所もほとんどなくなったことだ。公園もことごとく禁止だし、住宅街でもよほど広い庭をもつ一軒家でないと、花火ができない。私が最後に手花火をしたのは、2年前の茨城のホテルでの敷地内だった。「花火ができる夏休みプラン」は、楽しかった。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。
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