ゆうれいのしっぽのような溶き卵スープのなかをほろほろ巡る
私も『花やゆうれい』が大好きだ。今年のクリスマスプレゼントにぴったりの一冊だと思う。佐藤弓生さんの歌と町田尚子さんの猫の絵が溶け合っていて、とてもいい。今日のお昼休憩は、あの猫がいる世界を想いながら、中華ランチを食べていた。海老チリ定食に添えられた卵スープが体を温めてくれる。溶き卵がお椀の中をぐるぐる回る様子が、飛び交うゆうれいのしっぽのように思えた。淡黄色のしっぽは、細くてやわらかかった。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

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