No.640/2025年10月1日【神】 語り継ぐ神々の恋と争いに空さわがしきプラネタリウム

乃上あつこ

普段見上げる夜空は、晴れていたら月が見えるくらいで星はほとんど見えない。たまに光が強い星が見えたと思ったら、それは飛行機だ。見えないと思っているから探そうともせず、ますます星は姿を見せなくなる。先日、久しぶりにプラネタリウムに行った。星々を夜空に描き出して、半球が星座だらけでびっくりする。きれいを通り越して、集合体恐怖症の私は恐怖の一歩手前でかろうじて平静を保つ。おとなしい人が服を脱いだら、全身に刺青が彫られているような驚きだ。それにしても、私なら過去の恋や争いは放っておいてほしいが、いつまでも語り継がれてしまう神々は大変だと思う。まぁ、神々なので仕方ない。

作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

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