No.656/2025年10月17日【犀・秋】 「きのふ いらつしつてください」晩年の犀星の詩の香りたつ秋

伊藤一彦

室生犀星の70歳の時の詩集『昨日いらつしつて下さい』に同名の表題作がある。ふしぎな詩である。「きのふいらつしつてください」に続いて「きのふのいまごろいらつしてください」と述べられる。若い人なら「明日いらつしつてください」だろう。犀星は自分が癌であること知らず知らされず73歳まで生きた。20代の頃は若山牧水と親しい飲み友達だった。

作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。

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