No.519/2025年6月2日【あなた】 泥酔をしてゐるあなたむき出しのたましひ悲惨 薔薇もてかくせ

伊藤一彦

お酒を一滴も飲んだことがないという菅原さんに愚問で失礼した。 お母さんは酒豪の多い都城出身と前に聞いた記憶が残っていたのだろうか。 菅原さんの歌に「わが生にあづかりしことなき快楽(けらく) 泥酔といふ もの見たり」がある。「たましひの薄衣」の人の当然の歌だろう。分厚い「 たましひ」の人とちがって用心した方がいい。が、勝手な願いながら菅原さん の「酒ならぬ歌に泥酔」した作も見てみたい。
次はわが「泥酔の弟分」の久永さん、よろしく。

作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。

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