かはいいと聞きふり返る猫のをり返事する猫のをりこの家は
物心ついた時から隣に猫がいる。人間と猫の寿命は異なるため、今いる猫は子どもの頃、飼っていた猫とは違う猫だ。沖縄に来て13年目となるが、その間にも3匹の猫とお別れをした。今いる姉妹猫は、息子と貰ってきた猫であるが、最近、おかしなことに気がついた。この姉妹猫、「可愛い」と言うと、ふり返ったり、返事をしたりするのである。テレビから「可愛いですね」と誰かのコメントが流れても、自分のことだと言わんばかりに顔を向ける。可愛い=自分と思っているようだ。そんな様子を見ていると、昭和の猫って謙虚だったと思ってしまうのである。
作者/佐藤モニカ(さとうもにか)

1974年東京生まれ。歌人、詩人、小説家。2013年より沖縄県名護市在住。竹柏会「心の花」会員。歌壇賞、現代歌人協会賞、日本歌人クラブ新人賞、九州芸術祭文学賞最優秀賞、山之口貘賞、三好達治賞など受賞。
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