No.587/2025年8月9日【かはい】 かはいいと女も男も言つてしまふ吉田類の人と酒なり

伊藤一彦

牧水生誕140年の今年、宮崎の地元の民放が特集番組をつくってくれている。その番組の撮影のため、類さんが宮崎に来てくれた。もちろん、一夜、とてもいい居酒屋で酌み交わした。これまで幾度も一緒に飲んでいるが、いつも「酒場放浪記」そのままの類さんである。当たり前のようで、それはすごいことだと、いつも思う。にこやかで、席にいる人すべてをたのしませる。それがまことに自然で、みな類さんのファンになってしまう。その夜も同席している女性が言った。「類さん、かはいい」。

作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。

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