鈴鳴らし逆進してゆく時間観き「平場の月」の青砥と須藤
乃上さんの高千穂熱はすごいですね。私は先日観た映画「平場の月」が深く心にのこっている。青砥と須藤にとっては、現在は幻想で、中学時代こそが現実のように思えた。あの映画で中学時代が繰り返し出てくるのはそのためだと思う。二人は久しぶりに出会った時から逆進的に時間を生きている。ラストシーンの二人乗りが印象的だった。あれは須藤の最期の脳裏だった。だから病床の彼女はかれに会わなくてよかったのだと思う。乃上さんも逆進的な時間をすすんでいる。高千穂のいにしえへ。
作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。

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