朴落葉ふみしめ思うなめらかに好きと言い合えるまでの月日を
「好き」というのは自分から何度も言って、相手からもたくさん言ってもらえて互いになめらかに出て来る言葉だと思う。それまでには月日が必要だ。秋になって紅葉が楽しめるようになり、次第に落葉が増える。大きな朴の枯れ葉を踏むと音がする。こうして落葉を崩して遊ぶのが好きだ。崩していいって知っているから、安心して遊べる。1300年の歴史を持つ短歌も、好きと言ったら好きと返してくれるだろうか。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

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