身のうちに歌は響けり裸婦像の滑らかな肌にしたたる雨の
雨は降り落ちた先のものを濡らし、雫の音を立てる。音のないところに雨音の歌を響かせてゆく。この時期の雨は冷たく、通りの裸婦像も一層寒そうに見える。銅像の中では、どんな音で雨が響いているのか。そっと耳を近づけてその歌を聞いてみたくなる。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

コメント