紅葉は真っ赤な栞紐となり傷つきながら冬へ近づく
昨日と今日は連休で、珍しくゆっくりしていた。炊き込みご飯を炊いたり、パンプキンポタージュスープを作ったりした。そして、夜も昼もたくさん寝た。年々短くなる秋は、今年もあっという間に過ぎるだろう。一冊の本にたとえるなら、紅葉は後ろの方に挟まれた栞紐のようなものだ。日本人は四季の移ろいの物語を生きている。冬という一年の終わりをあっという間に迎えて、わかってはいても時の速さに少し傷つく。気温は下がり、栞紐はまた終わりに近づく。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

コメント