幼な子の書きたるまるは何だらうきつと月だよ燦さんと照れ
佐藤さんは詩人でもあるからご存じかもしれません。 私の好きな大岡信さんの詩「だれに絵が」を引きます。 「だれに絵が 描(か)けないことがあらうか/三歳の童女にも 海で暮らす猫の親子が描ける おどってゐる森が描ける かちやんのほくろが描ける/だがこの童女が 神に夢中で描いているのは 水すましが水の面(おもて)にかく絵と同じ クレヨンの無数の線ののたくりにすぎぬ/ それでも絵は もうそこに発生してゐる すべての画家も彫刻家も そこから出発したのだ/ だれに絵が描けないことがあらうか」(詩集『光のとりで』)
作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。
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