No.618/2025年9月9日【首】 首といふ誌名望みて図りしが女人は打ち首となしけり

伊藤一彦

「現代短歌・南の会」の会誌を発行することになり、名前を何にするか安永蕗子さんと話し合った。私は一首、二首と歌を数えるときの「首」を提案した。少し不気味さもあって、いいのではと思ったのであるが、安永さんはいやな顔をした。彼女の美学にはあわなかったのである。そして。彼女の提案する「梁」になった。かつて中国の南で栄えた王朝の名前だった。

作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。

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