酒の香の半透明の言葉たちパーティ会場を行き来してゐる
5月から6月にかけて、夜の立食パーティに幾度か参加した。しきりに食べているひとり食欲派もあるあるが、多くは幾人か集まってグル-プとなりグラスを傾け談笑している。そのグループのメンバーは適宜入れ替わっている。その場での会話はどれだけ本当のことが語られているのだろうか。いや、それは野暮な問いというべきだろう。もっとも、会場の隅でえんえんと論じ合っている人を目にすることもある。
作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。
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