わたくしがとる首なきをとくとくと二合徳利に啼かせておりぬ
昨日の佐藤モニカさんの歌は〈月光の訛りて降るとわれいへど誰も誰も信じてくれぬ〉(伊藤一彦)の本歌取りだろう。うちなーぐちの月光を浴びてみたく思う。一方、「とくとく」と言われると、どうしても敦盛の「とくとく首をとれ」を思い出してしまって、心持ち物騒になる。「わたくしが取る首なきを」と詠んだものの、解剖実習で何度か牛の首を取ったことを思い出す。首を取る、と簡単に言うけれど、頚椎の間をうまく狙って刃を入れねばならず、つつがなく果たすのは実は難しい。
作者/久永草太(ひさながそうた)

1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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