No.661/2025年10月22日【恋・愛】 れんれんと恋バナ聞きてあいあいと聞き流しおり じき冬が来る

乃上あつこ

「おめでとう」という言葉は、恋愛関係に使うのは間違っているような気がする。交際がスタートしたとしても、結婚が決まったとしても、それを継続できるかどうか、また継続すべきかどうかは、当人二人の相性と力量次第だからだ。そして人間は生きものである以上変わり続ける。じきに冬が来ること、さらに毎年少しずつ異なる冬を乗り越えられるかを考えれば、どんな運命的な出逢いであろうと、どんな理想的なカップルであろうと、私は結構冷静な目で見てしまうのだ。「おめでとう」というよりは、「そうなんですね、がんばってくださいね」と。

作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

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