アル綿の雫に文字はにじみゆきカルテに咲いてしまう朝顔
注射を打つとき、採血をするとき、病院で何かと使うアルコール綿なのだが、瓶から取り出す前によく絞らないと、ポタポタと雫を垂らしてしまう。一方、カルテを書くときに使うのは油性のボールペン。すこぶる相性が悪い。ぽたっとカルテに落ちたアルコールは、文字を滲ませながら円く広がっていく。おかげで前に書いた字が読めなくて困る。
作者/久永草太(ひさながそうた)

1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。

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