家に一人こもる真夏の片隅の箒は空を飛びたがってる
伊藤先生がここ数年ずっと取り組まれていた『若山牧水全歌集』が、ついに発売になった。先生は言う。「牧水さんへの恩返しができたかな」と。そして、伊藤先生の県民栄誉賞受賞が発表された。賞の開始時期から見ても、若山牧水はもちろん受賞していない。「牧水さんと二人での受賞かな」とやはり先生は言う。伊藤先生の心は、いつも牧水と共にある。酷暑が続いている。仕事がお休みの今日は、家にこもって若山牧水全歌集を読む。本来飛ばないものが、宙に浮き空を駆け巡る。そんな魔法の箒のような力を持つのが、牧水の歌だ。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。
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