わたくしを渡さぬために鈴蘭のからだが毒を編みはじめた日
植物の毒性について勉強しているとき、人間にも毒があればどんなに平和になるだろうと思うことがある。女性の友達と話していると、あまりに乱暴なナンパから、セクハラ、性被害一歩手前でなんとか逃げたというような話まで、身の毛のよだつようなことに想像以上の頻度で遭遇していて驚いてしまう。想像以上の頻度、とは書いたけれど、それはこちらの想像力の不足でもあろうし、不足している限り、その厄災の加害者に自分がなるかもしれない。雰囲気が深刻にならないように、ヘラヘラ喋ってくれる友達。ありがとう、でもどんな顔して聞けばよかったのか、今でもわからないんだ。
作者/久永草太(ひさながそうた)

1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。
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