No.500/2025年5月14日【手】 鈴蘭をまねてネイルを白くぬり手は初夏を迎えています

乃上あつこ

久永さんも伊藤先生もとても忙しいのに、歌の中ではのんびりしている。「忙中閑」と言っても、作歌モードでは心の中に「閑」を見つけ、その視点で歌を詠んでいるのだろう。リロリロと鳴らして遊んでいるようにも見えつつ、獣医と歌人の仕事を理路理路と整然とこなしている。伊藤先生も「われひなたぼこ」の歌があったが、気分転換に日向でほっと一息つく程度で、すぐに書斎に戻り原稿をぼこぼこにやっつけている。お二人ほどではないけれど、私も慌ただしく暮らしているが、ふと視界に入るネイルの色に癒されている。

作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

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