吹く息と吸う息で鳴るハモニカの音ひるがえる海水浴場
楽器は吹くことで音が鳴るものが多いが、ハーモニカは吹くだけでなく吸うことでも音が鳴る。裏も表もなくひたすら音を出し、音楽を作り上げることに懸命な楽器だと思う。この間、久しぶりに千葉県の九十九里浜へドライブに行った。海水浴場で人々は、思い思いにリラックスしていた。中にはハーモニカを吹いている人がいて、吹いて吸うことで奏でる音色が、寄せては返す波の様子に合っているなぁと感じた。明日バースデーガールのモニカさんのこんな歌を思い出した。「うらおもてあるやうな朝ゆつくりとかへせばこちらが夢かもしれず」(『白亜紀の風』)とても不思議な感覚になる大好きな一首です。お誕生日おめでとうございます。よりよい一年になりますように。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。
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