No.564/2025年7月17日【いいえ】 逃げられぬ、いいえ、逃げるという道を知らぬドラゴンフルーツに刃を

久永草太

友達の誕生日だったのを口実に、興味本位でドラゴンフルーツを買ってみた。買うのは初めてだし、食べたことがあったかも記憶が怪しい。名前通りの竜のようなうろこ状の見た目をしていて、やはりなんとなく動物的な趣がある。刃を入れると音もなく切れるやわらかい身で、中は真っ赤だった。その生々しく禍々しい見た目に反してさっぱりとした上品な甘さ。桃や洋梨を思わせる。四分の一だけ頂いて、残りが誕生日プレゼントになった。

作者/久永草太(ひさながそうた)

1998年、宮崎市生まれ。宮崎西高文芸部で短歌を始める。宮崎大学在学中は宮崎大学短歌会で活動、第三十四回歌壇賞を受賞する。現在は牧水・短歌甲子園OBOG会「みなと」、「現代短歌 南の会」、「心の花」所属。獣医師。

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