No.509/2025年5月23日【白】 試香紙のように香りを湛えつつ真白くひらく橙の花

乃上あつこ

いつも通る道に白い橙の花が咲いていた。形は総状花序をなし、五弁の花を咲かせている。さわやかな香りも初夏に心地よい。香水を試すときには、ムエットという白い試香紙につけて、いくつか香りを試して好きな香りを選んでいく。体温やつける場所によっても香り方が変わってくる。この橙の花の香りも、気温や湿度によって香りが少し変わるのだろう。古今集の次の歌は有名だ。
五月(さつき)待つ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする/読み人しらず

作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

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