母親になれぬ私がしまい置く「いつか」ばかりを詰めた缶詰
私はさくらももこが大好きでした。特にエッセイが好きで、本棚の整理を何度してもさくらももこの本は処分できません。今日は子ども日。子どもの皆さんと子どもだった皆さん、つまり私たち全員の日でもあります。私は元々結婚願望もさほどなく、子どもが大好きというわけでもありません。それでも、毎月月経が起きる体を持つ性ならば誰でも「いつか子どもを産んだら」と想像します。私は子どもを持つことが叶わなかったせいか、いろいろな人を見て「この子の母親はどんな人だろう、どんな気分だろう」と想像します。この「三世代のいちごつみ」では母親ポジションですが、母親らしいのは年齢くらいです。それにしても、久永さんや山下さんという優れた歌人の母親という設定に畏れ多く感じつつ、大きな赤ちゃんたちをかわいいと思います。
作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。
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