No.621/2025年9月12日【赦され】 八十二まで生きるを赦されて八二(やに)さがるなよ月が笑ふぞ

伊藤一彦

ヤニサガルという言い方はこのごろあまりきかなくなったが、「得意げになってにやにやすること」と辞書にでている。父は八十五歳まで生きた。母は百一歳まで生きた。ヤニサガルにはまだはやい。一首でも多く作り、一冊でも多く本を出したい。明日知れぬ身であることは承知ではあるが。

作者/伊藤一彦(いとうかずひこ)

1943年、宮崎市生まれ。「心の花」会員。「現代短歌 南の会」代表。若山牧水記念文学館長。読売文学賞、寺山修司短歌賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞など受賞多数。

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