No.488/2025年5月2日【好き】 春の痣 さくらが淡くつけたあざ 好きだと言ったブラウスを着る

乃上あつこ

今の季節は気温差が激しく、ブラウス一枚でも昼間は汗ばむのに、夜はその生地の薄さを後悔します。服装選びが難しいのもこの季節です。
宮崎の片山佳代子さんの第一歌集『八月の書架』ではこんな歌があります。
・逢えぬ日はきみの嫌がるシャツを着てぐんぐん歩く歩行者天国
・ワンピース紺を選べばファスナーは静かに上げよ王女のごとく
服と女心の関係が垣間見えてきます。図書館司書としての職業詠はもちろん、恋の歌や日常の気づきの歌も、とても読み応えがある一冊です。

作者/乃上あつこ(のがみあつこ)

1976年、横浜市生まれ。東京女子大学文理学部卒。中国留学を経て現在は銀座の美容施設に勤務。2014年から短歌を始め、第三十一回玲瓏賞受賞。現在は玲瓏、現代短歌南の会「梁」、牧水研究会に所属。

コメント

タイトルとURLをコピーしました