乃上あつこ

流星を日向に降らす言の葉の一枚ずつに触れてみたくて 今日から開催される牧水・短歌甲子園を、私は...

散松葉　自己相似形の重なりに人は平和をまた見失う この地球上を見渡せば戦争は止まず、人々はなお...

つぎつぎと学名溶ける酷暑日の植物動物われら水飲む 暑い暑いと言うのも聞くのも飽きてきた頃だが、...

電話にて想いを伝えていたころの夜光貝まだ風をとどめて 8月5日は夜光貝の日。夜光貝はその名前か...

三本の川の字のごと腹筋の縦線さんぼん鏡に映す パリオリンピックが盛り上がっている。私は新体操、...

横顔を見せてトレイに並びいる鮮魚売り場を過ぎる横顔 草太さんの火葬話から伊藤先生の『人間臨終図...

指さきは辺境として漂えるわたしの声のささやくところ 指先はとても目につきやすい。手のひらから伸...

白黒の三十二鍵をいとしみてひとさし指でひくトイピアノ 草太さん、ろかさんからのモノクロシリーズ...

誤差ほどの微差の重なる運命の川の流れに飛び交う蛍 葉室麟の小説『川あかり』の登場人物は、みな個...

プレスリーの袖のフリンジ揺れる夜　ラブミーテンダー、これはモノマネ プレスリーといえば、白いフ...