久永草太

その猫を「しろくろ」と呼ぶじいちゃんと「さんぼんあし」と呼ぶ我の誤差 祖父（伊藤一彦ではなく、...

玉ねぎの縦真っ二つ幾重にもわたしはわたしのモノマネである 音楽の話題が続いている。高校の頃聞い...

殴んなら殴れよただし混じり気のない君なりの言葉でこいよ 基本的に悪口というのは既存の言い回しが...

寄れば海散れば垂水たるみのか細きのごとく聞きおり蝉の恋歌 宮崎は平野部でもずいぶんと蝉の声が厚...

楔形文字のごとくに悩みいて割れば散らかる煎餅の屑 人類最古の文字、メソポタミア文明の楔形文字。...

むせながらそれでもすする夏の夜の明日のための霧島湯割り 暑い日にあえて火のような酸辣湯麺をすす...

ああ出来ぬ歌が出来ぬよ椅子の向き幾度も変えて終わらぬ自転 どうしても歌ができないときがある。そ...

迷い蜂幾度も窓にぶつかりぬ誰か諦め方を教えて 「南に1km、東に1km、北に1km移動すると元...

太陽に追い詰められて夏至ついに夜空の逆襲劇がはじまる 夏至である。一年で最も昼が長い日、最も夜...

もやしたち君らを茹でて我は食うすまない豆のわかものたちよ もやし一本一本を見てみる。頭がついて...