久永草太

君の絵にひげ描いた日よいたずらと呼ぶにはあまりに真剣だった 乃上さんの歌から「いたずら」の一語...

避けがたく摂氏一度の朝は来て張り手のごとし顔洗う水 松の内も今日で終わり、勤め人の朝に優しくな...

こんな日に心で揚げる凧があり大人になっても強風が好き ただでさえ寒いのに風までふくと嫌になって...

煩悩も撞けば音よし百八つ抱えたまんま見る初日の出 紅白歌合戦を見て、ゆく年くる年を見て、あれよ...

一年は終われど一生ひとよはつづくからこの肉の日も我は戦う 今年最後のバトンが回って来た。今年最...

冬と死が近くてやだな指先を切ったのに血があんまり出ない 手も足もすっかり生命体を辞めてしまった...

野菜室海溝深度一〇〇〇！隊長！みずみずしくないレタスであります！ 伊藤先生のタレスの歌を、一読...

天敵のごとくに我を見つけては鳴くヒヨドリをとっては食わず 鹿は病院には来ないので山で見かけるば...

花見酒呑み足らざれば月見酒乞いてこいこいしてしまいたり そして負けた。花札の話である。花見酒の...

それぞれの螺旋くずれてさようならカラスの勝手でしょう、おたがいに 昨日の伊藤先生の歌から「螺線...