伊藤一彦

あくがれて宇宙のどこか旅してる一三九歳の牧水さんは 若山牧水は１８８５年（明治１８年）８月２４...

パラソルがとてもまぶしいしろじろと戻らぬ時間のやうに振らないで あつこさんの歌から、若いときに...

散華せし、させられし兄たちの心思『きけわだつみのこえ』に知りき 昭和２０年８月１５日の記憶は私...

アユヤナの簀の子に落ちし鮎の眼の天つ光を嵌はめてかなしも アユタヤを知らないが、「犬の瞳に映り...

水求め川の岸のへに死に絶えし人をうたひき十年後に 長崎に原子爆弾が落とされた今日、あらためて竹...

花よりも草、動よりも静、川は下しもよりも上かみ、日子ひこよりも夜光 この「いちごつみ」のメンバ...

千年も万年もなき大河おほかはのみづ剃りあとのやうに青く輝てる 去る７月２８日は宮崎県国富町の短...

さかなとは酒を飲むとき添へ食べる魚菜ぎよさいが本意　今夜何にせむ 宮崎では晩酌のことをダリヤミ...

津田梅子の五千円とまれ柴三郎の千円は彼らしくて爽やか 知人の紹介で、相澤好治著『北里柴三郎と高木兼寛』...

透きとほるほどの白き指ものいはばいかなる声か聞きたしわれは 指の歌といえば、塚本邦雄の「晴天に...